「もう限界かも…」
「仕事辞めたい！でも、転職するにはまだ早いかな…？」
看護師として働いていると、さまざまな理由で転職を考える瞬間があるでしょう。しかし、「まだ1年目だから・・・」「一人前になってからの方がいいかな・・・」など経験年数で転職を思いとどまったり、悩んだりすることも多くあるでしょう。
この記事では、「看護師は何年目で転職する人が多いの？」「どのタイミングがベストなの？」といった疑問に答えつつ、年数別の転職成功ポイントや後悔しないための準備方法も解説します。転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
看護師が転職を考えるのは何年目が多い？1年目での転職は？
看護師が転職を考えるのは、何年目が多いのでしょうか？まず、経験年数の傾向と1年目での転職について解説します。
転職者が多いのは「3年目」と「5年目」
看護師の転職が最も多いのは「3年目」と「5年目」と言われています。3年目は一通りの業務ができるようになり、余裕が出てくる時期です。職場に不満を感じたり、他のキャリアに興味を持つ人が増えるタイミングです。
5年目はリーダーやプリセプターなどの責任ある仕事が増え、1人前の看護師として仕事ができるようになります。一方で忙しさや責任の重さに悩んだり、新たなキャリアを考える人が多くなります。
1年目での転職はあり？なし？
「まだ1年も経ってないのに辞めていいのかな…」と不安になる人もいるかもしれません。ですが、以下のようなケースでは早期の転職を検討してもOKです。
- 毎日涙が止まらない、胃痛や不眠など健康面に影響が出ている
身体症状が出るほどのメンタル不調は転職を考えていいです。健康面への影響として、人間関係や勤務状況、過剰な超過勤務などがあげられます。環境を変えれば、症状が改善する可能性があるなら、それは逃げではありません。自分を大切にする選択をしましょう。
- 過剰な残業がある、ハラスメントが横行している
残業時間については36協定といって、45時間・年360時間と上限が決まっています。この基準を超えるような残業を強いられる環境は、正常でないと判断できます。また、ハラスメントが横行する環境は、心身への負担が大きいです。安心して働けない環境に、身を置き続ける必要はありません。上司に相談しても対応が不十分だったり、加害者が上司だったりする場合は、職場内での解決が難しいこともあります。ハラスメントによってパフォーマンスが落ちたり、成長機会が奪われたりする場合は、より健全な職場への転職は前向きな選択です。
- 自分のやりたい看護とまったく違う方向に進んでいる
また、労働環境が明らかに悪い場合は、1年目で転職も不利にならないことがあります。自分のやりたい看護が明確な場合は、早々に転職を検討しても良いです。しかし方向性が違ったとしても、看護の経験は無駄ではないです。期限を決めて、まずは1年頑張ってみるといった考えもよいでしょう。
一方で「先輩と合わない」「忙しすぎる」など感情的な理由だけで辞めてしまうと、転職先でも同じような壁にぶつかる可能性があります。まずは自分の気持ちを整理し、信頼できる人に相談してみましょう。
看護師の転職理由に多い悩み・きっかけとは？
看護師が転職を考える背景には、日々の業務で感じる小さなストレスから、将来への不安までさまざまな理由があります。「人間関係がつらい」「夜勤がきつい」「もっとスキルアップしたい」など、職場・個人によって悩みは異なりますが、共通しているのは「今のままでは続けられないかもしれない」という気持ちです。
実際に多くの看護師が転職を決意するきっかけとなった、具体的な悩みや理由を紹介します。
人間関係、夜勤、将来のキャリアへの不安
看護師の転職理由として特に多いのが「人間関係」です。新人時代や中堅の頃に、先輩・上司とのコミュニケーションに悩んだり、派閥やいじめ、指導の厳しさからメンタルに不調をきたすケースもあります。
また、「夜勤が体力的にきつい」「夜勤明けの生活リズムが整わない」という声も多く、長く続けるうちに睡眠障害や慢性的な疲労に悩む人もいます。
さらに、経験を積んでいく中で「今の職場でスキルアップできるのか？」「このまま働いていて将来のキャリアは描けるのか？」といった不安を感じる人も多いです。「専門性を高めたい」「別の診療科にチャレンジしたい」「管理職にステップアップしたい」そんな思いがあっても、今の職場にその環境がなければ、転職が必要です。
結婚や妊娠などライフスタイルの変化
結婚や妊娠、出産といったライフイベントも、看護師が転職を考える大きなきっかけです。たとえば「結婚を機にパートナーの転勤についていく」「家事や育児の両立のために夜勤なしの職場に変えたい」といった理由が多くあがります。
妊娠中の立ち仕事や夜勤が体に負担となり、安心して働ける環境を求めて産休前に転職を考えるケースもあります。また、子どもが生まれてから復帰を考えたとき、「時短勤務ができるか」「保育園の送り迎えに間に合うか」といった条件も重要なポイントです。
これらの変化に柔軟に対応できる職場を探すために、ライフスタイルの変化に合わせて転職を選ぶ人が多くいます。
今の職場に残るべきか、転職すべきかの判断基準とは？
「辞めたい」と感じたとき、まずはその気持ちが一時的なものなのか、環境を変えるべき深刻な状況なのかを見極めることが大切です。以下に3つ挙げられます。
1．今の悩みは「環境」の問題か「自分自身」の問題か？
2．自分が大切にしたい価値観が尊重されているか
3．あと半年や1年頑張ることで状況が改善される見込みはあるか
以上のポイントを基準に、振り返ってみましょう。
１．今の悩みは「環境」の問題か「自分自身」の問題か？
環境を変えれば解決できる問題か、自身で乗り越える必要がある問題なのかを見極めます。例えば、人間関係のストレスが強いが、仕事内容や待遇には不満がない場合は慎重に検討した方が良いです。私も経験がありますが、辞めようか悩んでいる間に、人間関係が変わったり、環境が変わったりすることはよくあることです。勢いで決断することだけはやめた方が良いです。
2．自分が大切にしたい価値観が尊重されているか
ワークライフバランスやキャリアアップ、家庭との両立などは病院によって体制がさまざまです。自分はなにを大切にしたいか、優先順位をつけましょう。子育てや病気への理解については、周囲のスタッフの価値観によって大きく左右されます。
たとえば、年休以外の休暇制度として介護休暇や看護休暇などがあるかは施設によって大きく異なります。そして重要なのは、それらの休暇制度がきちんと機能しているかです。求人情報などに記載されていても、その休暇が現場で認められない環境であれば、転職してみたけど思っていたのと違ったといったことになりかねません。
3．あと半年や1年頑張ることで、状況が改善される見込みはあるか
自分が悩んでいる状況が改善される見込みがある場合は、転職を一時的に見送ることも検討しましょう。上司やスタッフの異動や退職、プリセプターが変わる、次年度から給料が上がるなど、一定期間我慢すれば改善される可能性があれば、少し頑張ってみるのも１つの選択肢となります。
一時的な感情だけで退職すると、後悔してしまう可能性もあります。「転職すると何が変わるのか」を具体的にイメージしながら判断することが重要です。
【年数別】看護師の転職成功パターンと注意点
「転職しようかな」と考えたときに気になるのは、看護師としての経験年数です。同じ看護師でも、経験年数によって知識や技術に大きな差があります。ここでは、年数別で転職する際に注意すべき点と成功パターンをご紹介します。
1年目で転職する場合
1年目の看護師は、基礎的な看護や疾患について学びながら実践している段階です。技術に関しても採血や点滴など基本は習得していますが、個人差も大きく、まだ看護師としてのスキルが浅いです。転職先も限られる可能性があるので、慎重に判断が必要です。
しっかり自己分析し、「なぜ辞めたいのか」を明確にしましょう。
- 知識量：基礎的な看護知識や疾患理解を学びながら実践している段階。
- 技術力：基本的な技術を習得中。経験に基づく判断が難しく、ミスも起きやすい時期。
- 指導経験：なし。逆に先輩からの指導を受ける立場。
- リーダーシップ：なし。自立して動くというより、指示を受けて行動する段階。
以上を踏まえて、転職先の選択はサポート体制が整っているかを重要視するとよいです。小規模病院やクリニックなどは研修体制が整っていないところもあります。転職先で仕事に慣れず苦労することがないように、転職先選びをしたいですね。退職した理由や志望理由などが明確であれば、採用に関しては問題ないでしょう。
2年目で転職する場合
2年目は経験者として一通りの基礎的な知識や技術に関してはアピールできる時期です。経験でいうとまだ発展途上ではあるので、今まで学んだことを活かして、転職先に何を求めるか、どのように貢献できるかを意識して考えましょう。
転職先は「職場で何を得たいか」を考えて選ぶのがカギ。
- 知識量：1年目で学んだ知識を土台に、疾患や治療、技術に関する理解が深まる。
- 技術力：基本的な技術はほぼ自立。ある程度の処置は自信を持って対応できる。
- 指導経験：新人のフォローに関わり始めることもある（部分的なOJTなど）。
- リーダーシップ：軽い役割（申し送りや連携など）を任されることがあるが、統率力という点ではまだまだ未熟。
転職するなら「何を学びたいか」「どんな環境が合うか」を見極めるフェーズです。2年間で仕事内容や職場環境に関しての理解も少しずつ深まっていると思うので、何を求めて転職するかを明確にすることが大切です。
3年目で転職する場合
3年目での転職は、即戦力として見られやすくなります。リーダー業務や後輩の指導などに携わる機会も増えている頃でしょう。転職先の職種によっては、条件交渉なども可能になってきます。
転職後のキャリアの方向性を具体化できると、採用につながりやすくなります。
- 知識量：疾患別の対応、看護計画の立案、薬の管理など、実践的な知識が充実。
- 技術力：急変対応・緊急処置・患者対応など、現場での対応力が向上。
- 指導経験：プリセプターや教育係になることがあり、後輩指導の役割が増える。
- リーダーシップ：チームの中で中心的に動くこともある。小規模な係やリーダー業務を任されることも。
スキルの応用や専門分野へのチャレンジがしやすく、転職もしやすい時期です。自分にはどんなスキルがあるのか、今後どのように看護師としてキャリアを作っていきたいかなど、深掘りすることで、よりより転職活動ができるでしょう。
4～5年目で転職する場合
4年目～5年目になると、リーダー業務や新人指導だけでなく、院内での委員会活動など看護技術だけでない部分も評価の対象になり得ます。やる気次第で管理職候補としての採用もあるかもしれません。一方で「経験はあるけど、やりたいことが見つからない」「疲れたからやめる」は注意しましょう。
- 知識量：看護過程を意識しながら全体を俯瞰できる。疾患・ケア・医療連携において深みが出る。
- 技術力：後輩の技術をチェック・指導できるレベル。高度な処置にも対応可能。
- 指導経験：プリセプター・メンターとして新人指導を任される。実習生の対応も担当することがある。
- リーダーシップ：チームリーダーや係長的な立場を担う機会が増え、業務調整やスタッフ管理などを経験できる場合も。
転職時は「中堅人材」の即戦力として期待されやすいです。管理職を目指したい人は、転職がよいきっかけになるかもしれません。今までに身に付けた知識や技術をどのように生かしたいのかを、具体的にアピールできるとよいでしょう。
6年目以上で転職する場合
専門性を活かして認定看護師や管理職を目指す方もいます。キャリアチェンジや教育・訪問看護なども視野に入るかもしれません。
- 知識量：領域別の専門知識に加え、教育・管理・医療制度への理解も備わってくる。
- 技術力：難易度の高い処置も習熟。安全性・効率性のバランスを意識して実践できる。
- 指導経験：新人〜中堅の育成、実習指導、後輩のキャリア支援など幅広く対応可能。
- リーダーシップ：チームや部署のまとめ役。主任・副師長などの管理職経験があることも。
転職では「マネジメント」「専門看護」「教育」のどの方向に進むかが鍵になります。世代的に結婚や出産などのタイミングが重なることもあり、柔軟な働き方を求める人も多くなるころです。自分の求める職場環境を見つけることから始めましょう
後悔しない看護師転職のためにやるべき準備とは
自己分析と転職の目的を明確にする
「今の職場を辞めたい」だけでは後悔の原因になります。なぜ辞めたいのか、次の職場に何を求めるのかを明確にしましょう。労働環境、人間関係、仕事内容など自分の中で何を大切にしたいか、優先順位をつけると転職先を探しやすくなります。
転職先のリサーチ・職場見学に行く
病院のホームページや口コミだけでなく、可能なら見学や面談を通してリアルな雰囲気をチェックすると良いです。足を運べば実際の雰囲気、人間関係、患者層などの情報が得られます。
転職サイト・エージェントの活用方法
看護師の転職に特化したエージェントを利用すれば、希望に合った職場を紹介してくれます。最近では、面接対策や労働条件の交渉、面接や見学の同行などサポートが受けられます。何から始めればよいかわからないという人は、幅広くサポートしてもらえるのでおすすめです。
まとめ：看護師の転職は「何年目」かより「目的」が大切！
「転職は何年目がベスト？」という疑問は、多くの看護師が抱えるものです。でも実際は、正解のタイミングはありません。何年目かよりも「なぜ転職したいのか」「どんな働き方をしたいのか」が重要です。今の環境で自分らしく働けているかに焦点をあててみましょう。
転職を迷ったら、まずはじっくり自己分析を行い、自分に合った職場を選ぶことで、後悔のない転職ができます。今の環境にモヤモヤしているなら、一度立ち止まって「自分の看護師人生」を見つめ直してみませんか？
転職は逃げではなく、未来の自分のための選択です。後悔しないように、「なんとなく」ではなく「目的を持った転職」をしましょう。
コメント